藤井翔悟コンサルティングFUJII SHOGO CONSULTING
経営フレームワーク23分で読める

AIエージェントとは?中学生でもわかる「仕事をするAI」と人間の役割

AIエージェントの意味、置き換わりやすい作業、人に残る判断、仕事の棚卸し、7日間の導入方法を、藤井翔悟の動画をもとに初心者向けに図解します。

藤井翔悟の顔写真

AUTHOR

藤井翔悟

株式会社藤井翔悟事務所 代表取締役 / 理学療法士

理学療法士として医療現場でキャリアを開始後、治療院経営で起業。自身の事業を年商10億円規模まで成長させた経験をもとに、治療院経営・ヘルスケア経営・企業変革を現場実装型で支援している。

7-MINUTE VIDEO

人間の仕事がほとんどAIに奪われる時代が来るのか?競合はAIなのか?

AIが作業から行動へ広がる中で、人がどこに価値を作るべきかを藤井翔悟が語ります。

公式動画で続きを見る

AIエージェントを一言でいうと「答えるAI」から「動くAI」への変化

質問へ返事をするだけでなく、目的に向けて複数の手順を進める。それが初心者向けの理解です。

これまで多くの人が触れてきた生成AIは、文章、画像、要約、アイデアなどを作るのが中心でした。人が一回質問し、AIが一回答える。次に何をするかは人が決めます。AIエージェントは、最初に目的を受け取り、必要な手順を考え、道具を使い、途中の結果を見ながら次の行動を選びます。すべてを完全に自動で行うとは限りません。重要な場面では、人へ確認を求めて止まる設計も含まれます。

中学生の係活動で考えてみましょう。「遠足のお知らせ文を作って」と頼まれ、文章だけを書くのが生成AIです。「遠足の候補日を調べ、天気予報を確認し、持ち物表を作り、先生が確認できる形にまとめて」と頼まれ、順番に進めるのがAIエージェントに近い動きです。目的が同じでも、任せる仕事のまとまりが大きくなります。

ただし、AIエージェントは人間の社員そのものではありません。相手の事情を完全に理解しているわけでも、結果の責任を負えるわけでもありません。用意された情報、使える道具、決められたルールの中で動きます。だから導入の第一歩は、AIを賢く見せることではなく、何を任せ、どこで止め、誰が確認するかを決めることです。

DIAGRAM

AIの役割は「返事」から「実行」へ広がる

これまでの中心

質問に答える

要約、文章、画像、案を作り、次の指示を人が出す。

これから増える形

目的まで動く

調査、比較、入力、連絡などをつなぎ、途中で人へ確認する。

一回の質問へ答える使い方に加え、目的に向けて複数の作業を進める使い方が増えています。

「仕事が消える」ではなく、「仕事の中の作業が入れ替わる」

受付という仕事も、予約、案内、例外対応、安心させる説明などに分けると見え方が変わります。

仕事の名前だけで考えると、話が大きくなりすぎます。「受付はAIに奪われる」「営業は人にしかできない」と決めても、現場では役に立ちません。受付には、空き時間を探す、氏名を入力する、確認文を送る、変更を受ける、体調や事情を聞く、困っている人を落ち着かせるなど、多くの作業があります。営業にも、会社を調べる、候補を並べる、メールを作る、相手の反応を読む、条件を調整する、約束に責任を持つなどがあります。

AIが先に入りやすいのは、手順が決まっていて、必要な情報がそろい、正解を確認しやすい作業です。同じ形式のデータ入力、決まった条件での検索、定型文の下書き、会議内容の整理、予約候補の提示などです。人が時間を取られているのに、仕事の価値として評価されにくかった部分から置き換わります。これは、働く人にとって楽になる機会でもあります。

一方で、目的が曖昧、例外が多い、間違いの被害が大きい、相手の感情や信頼が重要、最終責任が必要な作業は、人が中心に残ります。経営判断、治療や診断、採用の最終判断、重要な契約、苦情対応などです。AIを使って情報を集めたり下書きを作ったりできても、最後に誰が判断し説明するかを消してはいけません。仕事は消えるか残るかではなく、役割の境目が動きます。

すべての仕事を、まず三つの箱へ分ける

AI導入の難しい計画書より、手元の仕事を三分類する方が早く現場を変えます。

一つ目は「AIへ任せる箱」です。正解が確認しやすく、同じ手順を繰り返し、間違っても人がすぐ戻せる作業を入れます。長い文章の要点整理、表の並べ替え、公開情報の候補集め、定型メールの初稿、会議の議題案などです。最初から顧客へ送らず、内部作業で試すと安全です。

二つ目は「AIが下書きし、人が確認する箱」です。最も多くの仕事がここへ入ります。問い合わせへの回答案、広告文、報告書、予約確認、採用候補の情報整理などです。AIがゼロから一まで進め、人が事実、表現、相手への配慮、社内ルールを確認します。人が全部書くより速く、AIへ全部任せるより安全です。

三つ目は「人だけが行う箱」です。重要な決定、個人情報を含む判断、相手の人生や健康へ大きく影響する説明、謝罪、交渉、最終承認などを入れます。この箱を残すことは、AIに消極的という意味ではありません。責任の場所を明らかにすることです。AIを使う会社ほど、人にしか持てない責任をはっきりさせる必要があります。

DIAGRAM

仕事を分ける三つの箱

1

AIへ任せる

BOX 1

定型、反復、低リスクで、正解を確認しやすい作業。

2

人が確認する

BOX 2

AIが下書きを作り、人が事実と表現を確かめる作業。

3

人が責任を持つ

BOX 3

重要判断、例外対応、信頼、説明、最終承認。

いきなり全自動を目指さず、任せる、確認する、人が持つを作業ごとに決めます。

AIエージェントは、実際に何をできるのか

魔法ではなく、見る、考える、操作するを組み合わせた道具です。

OpenAIは、コンピューターを使うAIについて、人が日常使う画面や道具を操作し、ウェブ上の作業を進められると説明しています。検索欄へ入力し、候補を開き、条件を比べ、フォームへ情報を入れるといった操作です。現在のAIエージェントは、文章生成だけでなく、ブラウザ、表計算、ファイル、外部サービスなどを組み合わせる方向へ広がっています。

小さな会社なら、毎朝の公開ニュースを集め、自社に関係する話だけを三件に絞り、担当者へ下書きを渡す。問い合わせ内容を種類別に分け、よくある質問への回答案を作る。売上表から前週との差を探し、確認すべき数字を並べる。こうした作業は、目的と確認方法を決めれば試しやすい例です。

できることと、任せてよいことは別です。技術的に画面を操作できても、送信、購入、契約、削除、個人情報の利用などは、会社の許可と確認が必要です。AIエージェントの能力表だけを見て導入すると、操作できる範囲がそのまま権限になります。先に、読んでよい場所、書いてよい場所、送ってよい相手、必ず人が押すボタンを決めてください。

人の価値は「作業の速さ」から「良い問いと責任」へ移る

AIが速い部分で競争せず、AIが迷う場所を人が担当します。

AIは、与えられた目的と情報がはっきりしているほど働きやすくなります。反対に、何のためにやるのか、誰を優先するのか、どこまで失敗を許せるのかが曖昧だと、見た目は立派でも役に立たない結果を作ります。人に残る最初の役割は、良い問いを作ることです。「売上を上げて」ではなく、「先月より予約が減った原因を、流入、予約率、再来率に分けて候補を出して」のように、問題を小さくします。

次の役割は、結果を現場の事情へつなぐことです。AIは一般的な案をたくさん出せますが、その店の顧客、スタッフ、地域、予算、過去の失敗を自動で全部理解するわけではありません。出てきた案から、今週できる一つを選び、誰がいつ実行するかを決めます。知識を行動へ変える部分には、現場を知る人の判断が必要です。

最後の役割は、説明と責任です。お客さんが不安なとき、なぜこの提案をするのか。数字が悪かったとき、何を学び、次にどう直すのか。誤りが起きたとき、誰が謝り、元へ戻すのか。AIは説明文の下書きを作れても、会社や専門家として責任を引き受けることはできません。人の付加価値は、作業量ではなく、判断の質と信頼の積み重ねへ移ります。

DIAGRAM

人の仕事を一段上へ移す

AIが速い領域

探す・並べる・下書きする

大量の情報や決まった形式を、短時間で処理する。

人が持つ領域

決める・説明する・責任を持つ

目的、例外、相手の事情を考え、最終判断を引き受ける。

作業を手放す目的は人を減らすことではなく、判断と顧客価値へ時間を戻すことです。

初心者は五つの順番で、AIを仕事へ入れる

新しい道具を先に買うのではなく、困っている作業から小さく始めます。

一番目は、時間を取られている作業を一つ選ぶことです。「AIを導入する」では広すぎます。毎週二時間かかる会議要約、毎朝の予約確認、月末の数字整理など、開始と終了が分かる仕事を選びます。回数が多く、手順が似ていて、失敗しても人が戻せる作業が最初の候補です。

二番目は、正解の見本を用意します。これまで人が作った良い報告書、正しい案内文、使っている分類表などです。三番目は、AIへ渡す情報と渡さない情報を決めます。氏名、病歴、契約、社外秘をそのまま入れず、必要なら匿名化や承認済みの環境を使います。便利さより先に、扱う情報の線を引きます。

四番目は、合格条件を決めます。時間が半分になる、誤りが一件以下になる、担当者が十分快適と答えるなど、試験の答えを用意します。五番目は、一週間だけ試し、続ける、直す、やめるを決めます。うまくいかなかったらAIが駄目と決めず、目的、情報、指示、確認方法のどこが弱かったかを一つずつ見ます。

DIAGRAM

AI導入の五つの手順

1

作業を一つ選ぶ

繰り返しが多く、戻せる仕事から始める。

2

見本を渡す

良い答えの形をAIと人で共有する。

3

情報を分ける

入力してよい情報と、守る情報を決める。

4

合格を決める

時間、誤り、使いやすさの目標を置く。

5

一週間試す

小さく使い、数字と現場の声で判断する。

FIRST DOMAIN

4つが重なる業務から、最初の本番を作る

道具選びより、作業、見本、情報、合格条件、試験の順で決めます。

治療院で考えると、AIへ任せる場所が見えやすい

医療判断を任せるのではなく、周辺の事務と情報整理から使います。

治療院では、予約の空き枠案内、来院前の一般的な持ち物案内、公開情報を使った地域調査、許可された範囲での議事録整理、ブログの構成案などが候補です。施術者が毎回同じ文を一から作っているなら、AIに初稿を作らせ、人が内容を確認するだけでも時間が戻ります。戻った時間を、患者への説明、スタッフ教育、サービス改善へ使えます。

一方で、症状から病名を決める、緊急性を判断する、治療効果を保証する、個別の医療方針を自動で送るといった使い方は、簡単な業務効率化と同じに扱えません。専門家の判断、法令、職能上の責任、患者の同意が必要です。AIの文章が自然だから正しいとは限りません。健康に関わる内容は、資格を持つ人が根拠と表現を確認します。

良い導入は、患者から人を遠ざけません。むしろ、施術者が画面や事務に奪われていた時間を減らし、目の前の人へ戻します。「AIを入れたから人と話さなくてよい」ではなく、「AIに反復作業を任せ、人は不安と希望を聞く」。この役割分担なら、効率と信頼を一緒に高められます。

AIへ上手に頼む人は、四つを伝えている

難しい呪文ではありません。目的、材料、条件、出力を明らかにします。

一つ目は目的です。「メールを書いて」ではなく、「初回来院の前日に、不安を減らし持ち物を確認してもらうメールを書いて」と伝えます。二つ目は材料です。営業時間、場所、持ち物、キャンセル方法など、正しい情報を渡します。材料が不足したまま自然な文章だけを求めると、AIがもっともらしい内容を補ってしまうことがあります。

三つ目は条件です。中学生でも分かる言葉、三百文字以内、断定表現を避ける、医療判断を含めない、個人名を出さないなど、守る線を書きます。四つ目は出力の形です。件名、本文、確認項目の三つに分ける。表にする。三案出す。形を決めると、人が比較しやすくなります。

良い指示でも、一回で完璧になるとは限りません。最初の出力を見て、「この表現は強すぎる」「場所の案内を上へ」「専門用語を言い換える」と直します。このやり取りは失敗ではなく、仕事の基準を言葉にする訓練です。AIを使うと、自社が何を大切にし、どこを曖昧にしていたかが見えるようになります。

初心者が避けたい三つの失敗

便利さだけで急ぐと、時間短縮より確認と修正が増えます。

一つ目は、いきなり顧客へ自動送信することです。社内の要約や下書きで精度を見ないまま、問い合わせ返信や予約変更を自動化すると、誤った案内がそのまま外へ出ます。最初は必ず人が確認し、間違いの種類を記録します。同じ誤りが減り、例外処理が決まってから自動化の範囲を広げます。

二つ目は、秘密情報を何でも入れることです。便利だからと、顧客名、病歴、契約書、未公開の数字を許可なく外部サービスへ渡してはいけません。会社が承認した環境か、保存や学習の扱いはどうか、アクセス権は誰にあるかを確認します。分からない間は、名前や詳細を消した練習用データで試してください。

三つ目は、時間が短くなっただけで成功とすることです。十分快速でも、誤りが増え、顧客が不安になり、スタッフが確認に疲れれば失敗です。時間、品質、顧客への影響、担当者の負担を一緒に見ます。藤井が言う「AIを使う側になる」とは、道具を触ることではなく、結果を数字で見て仕事を作り直すことです。

七日間で始める、最初のAIエージェント実験

大きなシステム導入を待たず、戻せる一作業で学びます。

一日目は、今日行った仕事を十個書きます。二日目は、それぞれにかかった時間と回数を書きます。三日目は、三つの箱へ分けます。AIへ任せる、AIが下書きして人が確認する、人だけが行う。迷う作業は、最初は人が確認する箱へ入れてください。安全側から始めればよいのです。

四日目は、時間が多く、低リスクで、正解の見本がある作業を一つ選びます。五日目は、過去の良い見本を三つ集め、目的、材料、条件、出力を書きます。六日目は、実際の一件をAIと人の両方で行い、時間と誤りを比べます。顧客情報が必要なら匿名の練習データへ置き換えます。

七日目は、続けるかを決めます。時間が短くなり、品質が保たれ、人の確認負担も許容できたなら、一週間延長します。駄目なら、作業が複雑すぎたのか、情報が不足したのか、合格条件が曖昧だったのかを一つ直します。導入の勝ち負けは、AIがすごい答えを出したかではありません。現場で安全に繰り返せる形になったかです。

DIAGRAM

小さな実験から仕事の標準へ

1

一作業で試す

低リスクで、正解を確認しやすい仕事を選ぶ。

2

人と比べる

時間、誤り、使いやすさ、顧客への影響を見る。

3

合格だけ広げる

手順と確認点を残し、次の一作業へ進む。

小さく実装し、数字で検証し、効いた施策だけを残す。

一作業を選び、人と比べ、合格したものだけを広げます。

AI導入は、四つの数字で確かめる

使った回数ではなく、仕事が本当に良くなったかを見ます。

一つ目は時間です。導入前に何分かかり、導入後にAIの操作と人の確認を合わせて何分になったかを測ります。AIの処理時間だけを見てはいけません。指示を作る時間、待つ時間、直す時間も含めます。二つ目は品質です。誤字だけでなく、事実誤認、説明不足、社内ルール違反を数えます。

三つ目は人の負担です。作業時間が減っても、毎回どこに誤りがあるか不安で疲れるなら続きません。担当者へ、確認しやすいか、同じ誤りが減ったか、使い続けたいかを聞きます。四つ目は顧客への影響です。返信が早くなったか、案内が分かりやすくなったか、苦情や迷いが増えていないかを見ます。

経営者は、AI利用数を成果にしないでください。「全社員がAIを使った」は活動の記録です。売上や利益へすぐ直結しなくても、月に何時間戻ったか、誤りが何件減ったか、問い合わせ対応がどれだけ早くなったかなら判断できます。戻った時間を誰のために使うかまで決めて、初めてAIが経営の道具になります。

経営者は「誰が責任を持つか」を作業ごとに書く

AIを入れると、仕事の担当者が見えにくくなります。だから責任表を先に作ります。

AIが文章を作り、別の仕組みが顧客データを取り出し、担当者が少し直して送る。このように複数の道具と人が関わると、間違いが起きたときに「AIが書いた」「システムが送った」「前の担当者が設定した」と責任が散ります。道具は説明も謝罪もできません。最終的に誰が結果を確認し、外へ出すかを人の名前または役職で決めます。

作業表には、開始の合図、AIが行うこと、人が確認すること、外へ出す許可、失敗時の戻し方を一行ずつ書きます。たとえば予約確認なら、前日に対象者を抽出する、AIが文案を作る、受付が日時と氏名を確認する、承認後に送る、誤送信時は責任者へ報告する、という流れです。難しい規程より、現場が毎日見られる一枚が役立ちます。

責任表は、AIを縛るためだけにあるのではありません。担当者を守るためでもあります。どこまで自分で判断してよいか、何が起きたら止めるか、誰へ相談するかが分かれば、新しい道具を安心して使えます。AI導入を若い社員へ丸投げせず、経営者が目的、権限、損失の上限を決めてください。

うまくいった指示は、個人の技ではなく会社の手順へする

一人だけが使える便利な使い方では、休んだ瞬間に止まります。

AIを使い始めると、ある人だけが上手な指示を持ち、他の人は毎回ゼロから試す状態が起きます。これでは会社の能力ではなく、個人の秘密技です。良い結果が出たら、使った目的、入力情報、指示文、良い出力例、確認項目を一つの手順書へ残します。道具の画面が変わっても、仕事の目的と合格条件は使い続けられます。

手順書には、失敗例も残してください。「日付を取り違えた」「存在しない制度を書いた」「丁寧だが長すぎた」などです。AIの誤りを笑って終わるのではなく、どの確認項目で見つけるかを決めます。同じ失敗が起きるたびに人が驚く会社と、一度の失敗を次のチェックへ変える会社では、一年後の差が大きくなります。

月に一度、古い手順を見直します。使わなくなった指示、重複した確認、変わった社内情報を直します。AIの製品名や機能は変わりますが、顧客へ何を届けるか、どの品質を守るか、誰が承認するかは会社が持つ知識です。道具ではなく仕事の設計を資産にしてください。

社員教育は「AIの使い方」より「良い仕事の基準」から始める

正解の形を知らない人は、AIの間違いも見抜けません。

新人へAIを渡せば、すぐ熟練者と同じ結果を出せるという期待があります。AIは下書きを助けますが、何が良い報告、良い案内、良い接客かを知らなければ、自然な文章をそのまま正解と思ってしまいます。先に、自社の良い例と悪い例を見せ、なぜ違うかを説明します。AIは基準を学ぶ練習相手として使います。

教育では、答えを作らせるだけでなく、検証させます。数字の出典は何か、情報はいつのものか、別の見方はないか、顧客へ誤解を与えないかを質問します。AIの出力を批判的に見る習慣は、人が作った資料やネット情報を見る力にもなります。便利な道具を通して、考える手順を教えられます。

評価も変えます。たくさん文章を書いた人だけを褒めると、AIを使って時間を減らす動機がなくなります。問題を早く見つけた、良い確認項目を作った、顧客の迷いを減らした、他の人も使える手順にした、といった貢献を評価します。作業量ではなく、仕事を良くした人が報われる仕組みにします。

最初の三十日は、道具を増やさず一つの仕事を育てる

毎週違うAIを試すより、一つの業務で安全と成果を確かめます。

第一週は、作業を分け、低リスクの一つを選びます。第二週は、人が行った結果とAIを使った結果を十件ほど比べ、時間と誤りを記録します。ここでは自動送信をせず、必ず人が確認します。誤りが起きたら、指示を長くするだけでなく、入力情報、見本、確認項目のどこを直すかを考えます。

第三週は、別の担当者にも同じ手順を使ってもらいます。最初の人だけができるなら、手順が不足しています。迷った場所、入力に時間がかかった場所、見落としやすい場所を聞き、手順書へ足します。第四週は、続ける価値を判断します。合格なら正式な担当と確認者を決め、不合格なら一度止めます。

三十日で会社全体を変える必要はありません。一つの仕事で、時間が戻り、品質が保たれ、担当者が使え、顧客へ悪影響がないことを証明します。この小さな成功が、次の業務で使える型になります。藤井の実装型の考え方はここでも同じです。小さく実装し、数字で検証し、効いたものだけを残します。

AIを仕事へ使う前の十項目チェック

目的と安全の確認を、毎回ゼロから考えないための短い一覧です。

一、目的は一文になっているか。二、AIへ任せる作業の開始と終了が分かるか。三、良い答えの見本があるか。四、入力してよい情報と秘密情報を分けたか。五、利用するサービスは会社で承認されているか。この五つで、何をどの環境へ任せるかを確認します。

六、事実を人が確かめる方法があるか。七、顧客へ出す前に誰が承認するか。八、AIが止まったときに人が続けられるか。九、誤りが起きたとき元へ戻せるか。十、時間、品質、負担、顧客影響を測るか。この五つで、結果と責任の場所を確認します。

十項目の一つでも答えられないから、永久に使えないわけではありません。答えられない場所が、最初のテストで小さくする場所です。顧客へ送らず社内だけにする。実データではなく架空データを使う。自動ではなく人が毎回確認する。危険をゼロと見せるのではなく、失敗しても被害が広がらない形にします。

このチェックを通ると、AIの能力より会社の準備が見えるようになります。うまくいかない原因を「AIが頭悪い」で終わらず、目的、情報、見本、権限、確認へ分けられます。新しい機能が出るたびに慌てる必要もありません。同じ十項目で、使うか、待つか、試すかを判断できます。

藤井の警告は「AIを恐れろ」ではなく「変化を見て動け」

AIと競争するのではなく、AIを使いながら自分の付加価値を作ります。

動画では、企業が人へ頼んでいた仕事をAIへ移し、これまで大きな費用がかかった作業を小さな利用料で進める未来が語られます。ここから受け取るべきなのは、すぐに人が不要になるという結論ではありません。同じやり方と同じ値段だけを守っていると、より速く安く価値を出す相手に選ばれなくなるという警告です。

だから、AIを使う目的は値下げだけではありません。調査が早くなったら、提案を一人ずつ深くする。事務が減ったら、顧客の声を聞く。報告書が早くできたら、実行の時間を増やす。AIで生まれた余白を、他社が真似しにくい信頼、専門性、顧客理解へ使います。ここを決めなければ、時間が空いても価値は増えません。

今日やることは、新しいAIを十個試すことではありません。自分の仕事を十個書き、三つの箱へ分けることです。藤井の言葉を初心者向けに置き換えるなら、こうなります。簡単な作業だけで勝負するな。AIに任せるものを決め、人は判断と責任へ上がれ。使う側になるとは、ボタンを知ることではなく、仕事の形を自分で決めることです。

七分の動画で、AI時代への藤井の危機感を聞く

記事で仕事の分け方を理解したら、動画で変化の速さと藤井の言葉を確かめてください。

この記事は、藤井翔悟の動画「人間の仕事がほとんどAIに奪われる時代が来るのか?競合はAIなのか?」をもとに、AIを初めて仕事へ使う人向けに組み直しました。動画では、予約などのパソコン操作を行うAIエージェントをきっかけに、定型作業の価値が変わり、自分の付加価値を見つける必要があると語られています。

動画を見るときは、未来予測の数字を覚える必要はありません。「AIは文章だけでなく行動へ広がる」「簡単な作業は置き換わりやすい」「人はAIを使い、自分の価値を作る」の三点を拾ってください。見終えたら、今日一番時間がかかった作業を一つ選び、三つの箱のどこへ入るかを決めましょう。

あわせて読みたい

よくある質問

AIエージェントとChatGPTは何が違いますか?

会話や文章作成だけでなく、目的に向けて検索、比較、画面操作など複数の手順を進める仕組みをAIエージェントと呼びます。ただし製品ごとにできることや確認方法は違うため、名前だけで判断せず、権限と停止点を確認してください。

パソコンが苦手でもAIを使えますか?

使えます。最初から複雑な自動化を作らず、文章の要約や定型メールの下書きなど、一つの低リスク作業から始めてください。大切なのは操作の速さより、目的と合格条件を言葉にすることです。

AIへ顧客情報を入れてもよいですか?

会社が承認した環境、契約、保存や学習の設定、関係法令を確認するまで、氏名、病歴、契約、秘密情報を入れないでください。初期テストは匿名化したデータや架空例で行うのが安全です。

AI導入の成果は何で測ればよいですか?

処理時間だけでなく、誤りの数、人の確認負担、顧客への影響を一緒に見ます。AIを使った回数ではなく、同じ品質で安全に繰り返せる仕事が増えたかを成果にしてください。

出典

  1. [1]藤井翔悟「人間の仕事がほとんどAIに奪われる時代が来るのか?競合はAIなのか?」
  2. [2]OpenAI — Introducing Operator
  3. [3]OpenAI — Introducing ChatGPT agent

EXECUTIVE BRIEFING

この論点を、貴社の経営会議の議題に。

経営層の方向けに、この論点に関する個別ブリーフィング(90分)を実施しています。

ブリーフィングを申し込む