「患者さんの言葉」がそのままチラシの見出しになる — 治療院の顧客リサーチで「ぼやっとした患者像」を広告コピーに変える3ステップ
チラシの見出しを「何を書けばいいかわからない」という状態から抜け出す方法があります。藤井塾の顧客リサーチは「患者さんが実際に使う言葉を集める」ための作業です。ぼやっとした患者像を明確にして、3つの質問からヘッドラインとホームページのファーストビューを作る手順を初心者向けに解説します。

AUTHOR
藤井翔悟
株式会社藤井翔悟事務所 代表取締役 / 理学療法士
理学療法士として医療現場でキャリアを開始後、治療院経営で起業。自身の事業を年商10億円規模まで成長させた経験をもとに、治療院経営・ヘルスケア経営・企業変革を現場実装型で支援している。
なぜ「自分の頭の中」で書いたヘッドラインは届かないのか
院長先生が考えたヘッドラインと患者さんが「刺さる」と感じる言葉は、なぜズレるのでしょうか。
「骨盤矯正専門の整体院。丁寧に施術します」「慢性腰痛でお悩みの方へ。根本から改善します」。こういった見出しを見たことがある方も多いと思います。院長先生が一生懸命考えた言葉です。でも、こういった見出しを見ても問い合わせが来ないという悩みは非常によく聞きます。なぜでしょうか。
答えは「誰の言葉か」にあります。「根本から改善」「丁寧に施術」は院長先生が感じていることを言葉にしたものです。でも患者さんが頭の中で思っていることは違います。「朝起きたとき、腰が痛くてベッドから起き上がれない」「デスクワークで肩がパンパンに張って、仕事に集中できない」「子供の運動会に参加したかったのに、腰が心配で走れなかった」。こういった具体的な「生活の困りごと」の言葉が、患者さんが実際に使う言葉です。
藤井先生が教える重要な考え方があります。「なので、自分が患者さんに対してこうしてほしいんじゃないかっていう仮説はほとんど実は外れるもの。実はそこが落とし穴だったりします」。仮説(かせつ)とは「きっとこうだろう」という自分の推測(すいそく)のことです。自分の推測だけで書いた見出しは「落とし穴」になりやすいということです。
たとえば話をします。デスクワークで肩こりに悩む30代の患者さんがいたとします。院長先生は「肩こり解消に効果的」と書いたチラシを出しました。でも患者さんが実際に思っていることは「夕方になると目の奥が痛くなって、画面が見られなくなる。頭痛薬を飲むのも怖い」でした。「肩こり解消」という言葉は正確ではあります。でも患者さんの「夕方の頭痛が怖い」という言葉とはズレています。院長先生には分からなかったけれど、患者さんに聞けば1分で分かる言葉です。
「電通(でんつう)がヒット作品を作る上での極意(ごくい)と言われているものは、まずターゲットを絞りましょうね。どういうところがセールスポイントなのか。買い手のターゲットの買いたい欲求に刺さる商品のポイント」という考え方が藤井塾では紹介されています。電通は日本を代表する広告代理店で、多くのヒット商品の広告を手がけてきた会社です。そのプロが最初にすることは「ターゲットを絞り、そのターゲットが持つ欲求(よっきゅう)に刺さる言葉を見つけること」です。治療院のチラシでも同じことが言えます。院長先生の言葉ではなく、ターゲットである患者さんが「これだ」と感じる言葉を見つける。それが出発点です。
DIAGRAM
院長先生の言葉 vs 患者さんが使う言葉の比較
顧客リサーチの本当の目的は「患者さんの言葉を集めること」
顧客リサーチと聞くと難しく聞こえますが、目的は1つです。「今の患者さんが普段使っている言葉を集める」ことです。
顧客リサーチとは何でしょうか。難しい言葉に聞こえますが、やっていることはシンプルです。「自分の治療院に来ている患者さんに話を聞いて、どんな悩みを持っていて、なぜここを選んだのかを知る作業」です。ここに来るのは誰で、何を求めていて、どんな言葉を使っているか。それを直接聞いて記録することです。
藤井先生はこう言います。「皆さんも、『こういう人が、こういうお客さんが、こういう患者さんが来てくれたらいいな』っていう、性格とか、いろいろなものがあると思うんですね。それを、ぼやっとしているものをしっかり形作る、しっかり明確化するっていうことですね」。多くの院長先生が「こんな患者さんに来てほしい」というイメージをぼんやりと持っています。でも「ぼやっと」した状態では、広告の言葉は書けません。
顧客リサーチの目的は「ぼやっとしたイメージを、広告に使える言葉に変換すること」です。この変換の流れを整理するとこうなります。①ぼやっとした患者像(「肩こりに悩む人を呼びたい」)→ ②顧客リサーチ(実際の患者さんに話を聞く)→ ③患者の言葉(「夕方に頭が重くなって仕事が続けられない」「スマホを見るのが辛い」)→ ④ヘッドライン・ファーストビュー(「夕方に頭が重くなる方へ — デスクワーカーに特化した肩こり専門院」)。このルートを理解することが大切です。
「全てのお客さんが決めること、自分が考えて『こうだ』って思うんじゃなくて、本当にお客さんに聞く方が一番早いですよっていう話で」と藤井先生は教えます。院長先生がどれだけ頭を使って考えても、患者さん本人に聞くことで分かる言葉には及びません。難しい分析は不要です。実際に来院している患者さんに「どんなことで困っていましたか?」と聞く方が、100倍早くて正確です。
「単純に本当に一番簡単な方法は、患者さんに聞いてみるっていうところなんですね」とも言われています。これは難しい調査方法ではありません。今週来院する患者さんに2〜3の質問を聞く。それをメモに書き留める。それだけです。特別なスキルも道具も必要ありません。施術が終わった帰り際に「少し教えていただいてもいいですか」と一言声をかけるだけで始まります。
DIAGRAM
顧客リサーチ → 患者の言葉 → 広告コピーへの変換経路
ステップ1 — 「どんな患者さんに来てほしいか」を具体的に書き出す
まず手元にある情報を整理します。理想の患者さんのイメージを「年齢と症状名」だけでなく、「どんな生活をしていて、何に困っているか」まで書き出してください。
ステップ1では「呼びたい患者像(かんじゃぞう)」を書き出します。ここで大切なことは、「40代女性」「腰痛」「近隣住民」で止めないことです。これだけでは広告の言葉にならないからです。もう一段深く書き出してみてください。
具体的にはこんな質問に答える形で書き出します。「その患者さんは、どんな仕事や生活をしているか?」「その患者さんは1日のどの時間帯に一番困っているか?」「その患者さんが今まで試してきた他の解決策(痛み止め、他の整体院、自己流ストレッチなど)は何か?」「その患者さんが治療院に来ることを決める前に、一番心配していることは何か?」。こういった「生活の中の困りごと」まで書き出すと、患者像が具体的になります。
たとえば話で確認しましょう。「40代の会社員で、デスクワーク中心の仕事をしている方。肩こりがひどく、毎晩肩をほぐしてもらうために家族に頼んでいる。市販の湿布を貼り続けているが根本的に改善していない。本当は整体に行ってみたいが、効果があるか不安で一歩が踏み出せない」。こう書くと、どんな言葉をチラシに入れるべきかが具体的に見えてきます。
大事な注意があります。この段階の「患者像」はあくまで仮設定(かりせってい)です。つまり「暫定的(ざんていてき)な予測」です。院長先生の経験や印象から書いたものなので、この後の顧客リサーチで確認・修正することが前提です。「40代の会社員だと思っていたが、実際に聞いてみたら50代の自営業者が多かった」ということもよくあります。最初から完璧を目指すのではなく、「まず書いてから確認する」という順序で進めてください。
患者像を書き出す時間は30分で十分です。長すぎる時間をかける必要はありません。直近3か月で印象に残った患者さんを3〜5名思い浮かべながら書いてみてください。「この患者さんは、最初の来院前にどんなことで困っていたかな」と思い出しながら書くと、具体的な言葉が出やすくなります。書き出したら、次のステップに進んでください。
ステップ2 — 今いる患者さんに「3つの質問」を聞く
書き出した患者像が正しいかどうかを確認するために、実際に患者さんに聞きます。聞く質問は3つだけです。
ステップ2では、現在来院している患者さんに直接質問します。「患者さんへのインタビュー」という言葉を使うと難しく聞こえますが、やることは簡単です。施術の前後に「少し教えてもらえますか?」と声をかけて、3つの質問をするだけです。時間は5分もかかりません。
質問1:「初めて来院する前、どんなことで一番困っていましたか?」。これは来院前の「生活の困りごと」を教えてもらう質問です。「腰が痛くて靴下が履けなかった」「朝起きると肩が固まっていて仕事が始められなかった」「車の運転中に右側が見えにくくて怖かった」。こういった日常生活の具体的な言葉が出てきます。この言葉が、そのままチラシの見出しになる可能性が高い言葉です。
質問2:「うちを選んでいただいた理由を教えてください。チラシを見た方は、チラシのどの部分が気になりましたか?」。これは「なぜここに来たか」を教えてもらう質問です。「先生が若くて話しやすそうだったから」「駐車場があったから」「予約制だから他の患者さんと会わなくて済むから」「ホームページを読んで、自分と同じ悩みのことが書いてあったから」。こういった答えは、院の強みが患者目線でどう見えているかを教えてくれます。
質問3:「ここに通うようになって、日常生活でどんな変化がありましたか?」。これは「治療の結果どう生活が変わったか」を教えてもらう質問です。「朝の寝起きが楽になった」「子供と一緒に公園で遊べるようになった」「仕事に集中できる時間が長くなった」。こういった「生活の変化」を表す言葉は、治療院が提供する価値(かち)そのものです。これもそのままヘッドラインに使えます。
「深掘りしてみてください。どんな悩みがあったのかとかね。今まで、もっと細かく掘り起こすと、自分自身も結構気づかなかった悩みっていうものが、実は出てきたりするものなんですね」と藤井先生は教えます。患者さんの答えが短かった場合は「たとえば、どんなときに一番辛かったですか?」とひと言追加するだけで、より具体的な言葉が出てきます。
聞いた答えは、その場でメモします。後から思い出して書こうとすると、患者さんが使っていた具体的な言葉が薄れてしまうことがあります。スマートフォンのメモアプリや、小さなノートに書き留める習慣をつけてください。「腰が痛くて靴下が履けなかった」という患者さんの言葉そのままが、後でヘッドラインに変換されます。院長先生が「腰痛専門院」と書くより、「靴下が履けない腰痛でお悩みの方へ」と書いた方が、同じ経験をした患者さんに強く届きます。
DIAGRAM
患者さんに聞く「3つの質問」とそれぞれが教えてくれること
ステップ3 — 患者さんの言葉をそのままヘッドラインに変換する
集めた言葉を広告に使います。難しい加工は必要ありません。患者さんの言葉を少し整えるだけです。
患者さんから集めた言葉をチラシの見出しに変換します。やることはシンプルです。患者さんが使っていた「困りごとの言葉」をそのまま見出しにする。または「困りごと + 解決の提示」という形にする。それだけです。
変換の例をいくつか見てみましょう。患者さんの言葉が「朝起きると腰が固まっていて、ベッドから起き上がれない」だった場合、見出しは「朝ベッドから起き上がれない腰痛の方へ」になります。患者さんの言葉が「夕方になると首と肩が重くなって、画面が見えにくい」だった場合、見出しは「夕方の頭痛・首肩の重さでお悩みの方へ」になります。患者さんの言葉が「子供の学校行事で走れない、こんな体のままではいけないと思った」だった場合、見出しは「お子さんの運動会で一緒に走りたい方へ」になります。どれも院長先生が作った言葉ではなく、患者さんが使っていた言葉から作られています。
注意することが1つあります。患者さんの言葉はそのまま使う場合と、少し整える場合があります。たとえば「腰が痛くてやばかった」という言葉はそのまま使えません。「腰の痛みが日常生活に支障をきたしていた」と整えます。でも、なるべく患者さんが使っていた言葉に近い表現を保つことが大切です。院長先生が「正しい医学用語」に直してしまうと、患者さんが「自分ごと」として感じる力が弱くなります。
ホームページのファーストビューも同じ考え方で作れます。ファーストビューとは、ホームページを開いたときに最初に見える画面のことです。ここに入れる一言も、患者さんから集めた言葉で作ります。「靴下が履けない腰痛でお悩みの方へ」「デスクワーク後の肩こりで頭が重い方へ」。これらは院長先生が考えたキャッチコピーではなく、実際の患者さんが使っていた言葉から作ったものです。この1行を読んだ患者さんは「自分のことだ」と感じてスクロールを続けます。
「自分が呼びたい患者さんの悩みに対して響く言葉っていうことが大事ですね。それが要するにチラシのヘッドラインになったりとか、ホームページのファーストビューの部分の言葉につながってくる」という藤井先生の言葉がここで繋がります。顧客リサーチは、このチラシのヘッドラインとホームページのファーストビューの言葉を作るための作業です。リサーチそのものが目的ではなく、「響く言葉を見つけること」が目的です。見出しとファーストビューに使える言葉が見つかったとき、リサーチは完了です。
言葉は一度集めたら終わりではない — 続けて集めると見出しの精度が上がる
患者さんの言葉は、季節・客層・市場の変化によって変わります。定期的に集め続けることで、見出しの精度が上がり続けます。
「リサーチは1回で終わるものではないので」という藤井先生の言葉があります。患者さんへの質問と言葉の収集も、同じことが言えます。半年前に多く来ていた患者層と、今来ている患者層は変わっていることがあります。客層が変わると、患者さんが使う言葉も変わります。半年前に集めた言葉だけをずっと使い続けると、今の患者層に届かなくなることがあります。
たとえば話で確認します。春先は「新生活で姿勢が悪くなった」という悩みが多い。夏は「長時間のエアコンで首が痛い」が増える。秋冬は「寒さで腰が固まる朝がつらい」という言葉が多くなる。季節によって患者さんが使う「困りごとの言葉」が変わります。これを定期的に収集して見出しに反映させることが、反応率を維持する方法です。
収集のリズムは月1回で十分です。施術後に患者さんへの質問を月1回、1〜2名に聞く習慣をつける。メモに追加していく。3か月に1回、集まった言葉を見直して「今のチラシの見出しと合っているか」を確認する。この3ステップを繰り返すだけで、チラシとホームページのファーストビューが常に今の患者さんの言葉で書かれた状態になります。
患者さんへの質問を続けていると、もうひとつ嬉しいことがあります。「そんなところが魅力を感じてくれていたんだ」という驚きが出てくることです。院長先生がまったく気づいていなかった自院の強みを、患者さんが言葉にしてくれることがあります。「先生の声が落ち着いているから緊張しない」「待合室が静かで安心できる」「施術の説明が分かりやすくて信頼できる」。こういった言葉は、院長先生だけでは絶対に思いつきません。患者さんに聞き続けることで初めて見つかる言葉です。
集めた言葉はリサーチシートの「顧客リサーチ」タブに記録します。日付と患者さんが使った言葉を記入していくだけです。5人、10人と積み重ねていくうちに、「何人もの患者さんが同じ言葉を使っている」パターンが見えてきます。そのパターンに入る言葉が、今の患者層に最も届く見出しの素材です。記録が増えるほど、見出しの根拠(こんきょ)が強くなります。
今日やること — 今週1人に聞いて言葉を集める
今日から始められます。まず今週来院する患者さん1人に「質問1」を聞くことから始めてください。
今日やることは1つです。「初めて来院する前、どんなことで一番困っていましたか?」。この質問を、今週来院する患者さんの中から1人に聞いてください。施術の後、帰り際に「少し教えていただいてもいいですか」と声をかけて聞きます。答えをそのままスマートフォンか手帳にメモします。それだけです。
1人から始めて大丈夫です。5人、10人と積み重ねていくうちに、「同じことを言う患者さんが多い言葉」が見えてきます。その言葉が、最も多くの患者さんに届く可能性が高い見出しの素材です。最初から完璧な見出しを作ろうとする必要はありません。言葉を集め続けることで、見出しは自然と「患者さんの言葉で書かれたもの」に変わっていきます。
今すでにチラシやホームページを持っている方は、このステップと並行して今の見出しを確認してみてください。「院長先生の言葉」で書かれているか、「患者さんの言葉」で書かれているか。判定する方法は1つです。見出しを読んで「これは院側のアピール(院がいかに良いか)か、患者さんの困りごと(患者さんが今感じていること)か」を確認する。患者さんの困りごとが見出しに入っているほど、「自分ごと」として読まれます。今のチラシをこの視点で1度確認してみてください。
まとめ — 顧客リサーチは「響く言葉を集める作業」
チラシの見出しは作るものではなく、患者さんから集めるものです。3つのステップを繰り返すことで、見出しは自然と「届く言葉」に変わっていきます。
「院長先生の言葉で書いたヘッドライン」が届かない理由は、患者さんが実際に使う言葉とズレているからです。自分の推測(仮説)から書いた見出しは、ほとんどの場合「院側の言葉」になります。患者さんは自分の困りごとの言葉が見出しに入っていないと、「自分向けの広告ではない」と無意識に感じてスルーします。
顧客リサーチの目的は「ぼやっとした患者像を明確にし、患者さんが実際に使う言葉を集めること」です。集めた言葉は加工不要でそのまま見出しに使えます。「朝ベッドから起き上がれない」「夕方に頭が重くなる」「子供と走れない」。これらの具体的な生活の困りごとを表す言葉が、最も患者さんに届く見出しの素材です。
3つのステップをおさらいします。ステップ1は「呼びたい患者像を生活の困りごとまで書き出す(30分)」。ステップ2は「今週の患者さん1人に3つの質問を聞いてメモする(5分)」。ステップ3は「集めた言葉をそのまま見出しとファーストビューに変換する(30分)」。合計1時間ほどで、今のチラシやホームページの見出しをより「患者さんに届く言葉」に変えることができます。
「本当に患者さんに聞いてみるといいかなと思いますね。きっと新しい発見があったり、そんなところに魅力を感じてくれていたんだっていうことが、必ず見つかると思うんですよね」という藤井先生の言葉の通り、実際に聞いてみると必ず驚きがあります。自分では気づかなかった院の強みが患者さんから出てくることも珍しくありません。今のチラシの見出しを一度確認し、患者さんの言葉で書かれているかどうか確認してみてください。改善のヒントは、院長先生の頭の中ではなく、患者さんの口から出てきます。
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よくある質問
患者さんへの質問はどんな場面で聞けばよいですか?
施術が終わった後の帰り際が最も聞きやすいタイミングです。「今日の施術の後、少し教えていただいてもよいですか」と声をかけます。所要時間は3〜5分です。最初の1回は少し緊張するかもしれませんが、ほとんどの患者さんは喜んで答えてくれます。アンケート用紙に書いてもらう形式でも構いません。大切なのは「患者さん自身の言葉で答えてもらうこと」です。選択式の質問(「AかBのどちらですか?」)より、「どんなことで困っていましたか?」という自由回答式の方が、ヘッドラインの素材になる言葉が集まります。
何人に聞けばヘッドラインの言葉として使えますか?
まず1人から始めて構いません。5〜10人集まると、「同じ言葉を繰り返す人が多い」パターンが見えてきます。そのパターンに入る言葉が、最も多くの患者さんに届く可能性の高い言葉です。20〜30人集まると、さらに精度が上がります。ただし最初の1人に聞くことが最も大切です。100人分のデータを集めてからと考えると、いつまでもヘッドラインが変わらないままになります。今週1人に聞いた言葉を、まず今のチラシの見出しと比べてみてください。
患者さんが使う言葉をそのままヘッドラインに使っていいですか?
基本的にはよいです。ただし、個人が特定できる情報(「○○市の□□さん」など)は使わないことが原則です。また「〜〜が治る」という確定的(かくていてき)な表現は、医療行為の誇大広告(こだいこうこく)に当たる場合があるため避けてください。「〜〜でお悩みの方へ」「〜〜が気になる方へ」という表現の方が適切です。患者さんの言葉を使うときは、「院側の主張」ではなく「患者さんの悩みの提示」として使うことが、誤解を避ける上でも大切です。
ベネフィットリスト(50個の特徴変換)を作ったのに、なぜ患者さんへの質問も必要ですか?
ベネフィットリストは「院の強みを患者目線で言い直したもの」です。顧客リサーチは「患者さんが実際に日常生活の中で使っている言葉を集めるもの」です。この2つは別の作業です。たとえばベネフィットリストに「完全予約制で待ち時間がない」と書いてあっても、実際の患者さんが「待ち時間がない」という言葉で考えていない場合があります。「子供を迎えに行く時間がある中で済む」という言い方をしている患者さんが多いなら、その言葉の方が刺さります。ベネフィットリストは「院側の言葉」、顧客リサーチは「患者側の言葉」を集めます。両方揃うと、見出しの精度が上がります。
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